yuichi0613's diary

yuichi0613の雑記、写真、日々の記録。

「JAP THE ROCK REVOLVER」鑑賞の感想

渋谷のユーロスペースで「JAP THE ROCK REVOLVER」を見てきた。

「JAP THE ROCK REVOLVER」公式サイト
http://www.suiken666.com/jap/
評価:★★★☆☆


以下、サイトから監督の解説、引用。

聴覚障がい者4名と健聴者1名で構成された手話ロックバンド「BRIGHT EYES」は、2008年で結成20年目を迎える。

どうして耳が聞こえないのに、バンドを組もうと思ったのか?
耳が聞こえない彼らは、バンドをしていて楽しいのか?
正直言って私も最初は、そんな凡庸で陳腐な疑問を抱いた。

1曲覚え、ステージで披露するまでに半年かかる。
また、ようやくステージで歌えたとしても、観客の歓声、拍手はおろか、自分達の奏でる音や歌声すら聞こえないのである。

だが、彼らのライブを生で体感した時、その痛々しいほどの生命力に体中が震えた。
生きていることの喜び、そして圧倒的な孤独をすべてロックンロールというパワーに変えてきたのだろう。
はみ出し者の美学を求めて……。

この映画は、ままならぬ世界でのたうちまわりながらも、自由を求め続け踊り続ける彼らの叫びに迫ったドキュメンタリーである。

監督 島田角栄

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監督
島田角栄
出演
BRIGHT EYES
プロデューサー
月花、華雪ルイ、田実健太朗、鈴木幹久
助監督
奥野友仁、宮辺桂佑
宣伝広告
DUB DESIGN

* 2009年/日本
* 90分
* DVカム/カラー
* 字幕付

感想としては、「聴覚障がい者のバンド」という撮影対象に絞ったこと、そこに焦点を当てようと思い、約1年の準備をへてこの作品をつくったことは評価できる。
冒頭、罵倒されながらも「売れない監督」を続ける島田氏の生き方にかぶるところがあるとして、「ブライトアイズ」に興味を持った経緯を示した。心象としての「疎外者」という存在に、フォーカスを当てるのはなかなか根性がいる作業だ。しかし、だからこそ彼らの本質に密着をしようとしたのだろう。

ただ、作品としてはもう少しな感じがした。
彼ら「ブライトアイズ」のメンバー紹介で終わってしまっている。いや、そう見れば、そういうドキュメンタリーとして見れば、違った感想を持つだろうが。
彼らメンバーだけでなく、ほかの視点もほしかったかなという感じ。たとえば、バンドの外側からの視点。聴衆の見方。ほかの障がい者からの視点。日本社会において、彼らのような存在はほかに出てくる素地はあるのかないのか。
メンバーから語られてはいるが、物足りない。説得性が足りない。
とはいえ90分という長い時間のうち、現在の彼らのあり方には食い込めていて、それはそれで資料性のあるものだと思ったのはたしか。しかしながら惜しいのは、なぜバンドを始めたのか。障がい者としてどう生きてきたのか。苦しみはどうなのか。こういった心の奥の部分に質問が届いていない。実際、質問としては聞いているのだが、うまく引き出せていない気がする。

ギターの木村氏のくだりで「力不足で」という字幕が出ていたが、なるほどインタビューアとしての島田氏は、ちょっと力量不足なのが残念。質問の最初に「大変失礼な質問ですが」と必ず前置きをしていたが、取材先との信頼関係がしっかり築けていれば、そういう気の使い方は違ったのではないか。

加えてライブの場面では、おそらく障がい者でありながらソウルフルに歌うバンドを見せたかったのだろうが、映像のカット、音声の不十分さ、シーン設定のちょっとした矛盾のために、あまりいいバンド映像とは思えなかった。

そうはいっても、とても有意義な作品であったし、監督の今後にも期待したいと思う。