yuichi0613's diary

yuichi0613の雑記、写真、日々の記録。

『ゾディアック』

ふと映画を見たいと思った。
知り合いが勧めていた映画があったなと思い、見つけたのが『ゾディアック』(2006年)。

wikipediaのリンク、映画はこちら↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BE%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%83%E3%82%AF_%28%E6%98%A0%E7%94%BB%29

監督はデイヴィット・フィンチャー。『セブン』や『ファイトクラブ』、そして『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』など。個人的に好きな『ゲーム』の監督と知って驚いた。なるほど、そういう作品をつくるのか。

さて。

『ゾディアック事件』自体のwikipediaはこちら↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BE%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%83%E3%82%AF_%28%E9%80%A3%E7%B6%9A%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E7%8A%AF%29


最初の事件とされるのが、1968年。いまだ未解決事件という(当時、警察が最も重要として扱った容疑者、アーサー・レイン・アレン(Arthur Leigh Allen)は1992年に腎不全で病死。なお、その後の捜査状況は文末に軽く触れる)。
新聞社に手紙を寄こし、紙面で取り扱うことを要求する、暗号文を送りつけて解読を迫るなど、その当時のマス・メディアを巻き込んだ犯罪スタイルが特徴的。


作品の展開としては、まず一連の殺人のうちの2番目の殺人から作品は始まる。暗闇からの発砲。不気味な事件、警察は指紋すら探し出せなかった。3番目の殺人では、全身黒尽くめの格好で腹部には「ゾディアックマーク」を付けて被害者の前に姿を現した。どちらの事件も、男性が生き残った。最後の殺人とされているのは、タクシー運転者への強盗殺人。

前半は事件発生と捜査の過程。
謎の連続殺人犯人「ゾディアック」を追う記者と警察、しかし警察の間での連携の甘さや現場警察のミス、証拠を残さない犯罪、模倣犯を生む劇場型犯罪のスタイル。注目が高いゆえのやりづらさもあっただろう。当時の筆跡鑑定などでもアレンを犯罪者とする証拠にならない。結局は犯人を特定することができないまま、時間だけが過ぎる。

後半は新聞社の漫画家グレイスミス(小説家でこの作品の原作者)が事件の3年後から、本の執筆のため真相に迫るまで。
事件当時から興味を持って接していたが、事件が忘れられていくにつれて、総括の必要を感じて動き始める。続けて事件を追うトースキー刑事に時々ヒントを得ながら、事件を整理し、結論は警察が追っていた通り、やはりアレンに行き着く。しかし、犯人とする証拠が状況証拠しかない中で、警察は動けない。トースキーが「本を書け」と言うこのあたりの場面はこの物語のハイライトであろう。



感想としては、正直なところ物語としての盛り上がりの少ない作品だったのは否めない。
ただ、私はたんたんと進んでいく物語、特に後半グレイスミスが真相に迫っていく過程の展開が好みだったので、むしろのめりこんで観ることができた。そういう意味で、ドキュメンタリー映画としての一面が強いのだろう。また、加えて、映像として印象的なシーンがいくつかあり、映像作成の点でも参考になった。
作品は2時間半越えと、かなり長い。いくつか感想ブログなどを読んでみると、その点がひっかかった方が多かった。たしかにこの抑揚の乏しいタイムラインで2時間越えは一般的な映画としてはきついかもしれない。

映像で印象に残ったの場面が多かった。車を上空から固定的に捉えていた映像、ビルの建設過程、警察署で資料を手繰るグレイスミスの場面の映像的テンポの良さ、地下室の暗闇の恐ろしさ。
物語の地味さの中、随所に映像の表情の豊かさが印象に残った。

なお、この事件については続報がある。
2002年に前述のアレンは、その後のSFPD(San Francisco Police Department)によるDNA鑑定で関係を否定された。しかしあくまで著者グレイスミスはアレン実行犯説を採っている。
現在の捜査状況はこちらに詳しい↓
http://omoroid.blog103.fc2.com/blog-entry-247.html
(この記事から始まって関連記事を参照)

地元では、まだまだ話題のニュースであるようだ。