yuichi0613's diary

yuichi0613の雑記、写真、日々の記録。

鑑賞の感想:『羊たちの沈黙』の映像としての怖さ

名作探訪シリーズ。
羊たちの沈黙』が見たくなったので、その連作もついでに借りてきた。
すべて見たが、一度『ハンニバル』の後半のスプラッタシーンに心をひどく痛めつけられて、見る気が失せてしまったのがあって、初作鑑賞から感想が遅れてしまった。。
私は血を見るのが駄目だし、ああいう直接的なシーンは苦手なんだよなあ。

レンタル店で借りたので返さなくちゃ、という風に勇気を奮い立たせてやっとこさ返却期限内に見ることが出来た。

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さて。
羊たちの沈黙』について。

その説明として、wikipediaはこちら。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8A%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E6%B2%88%E9%BB%99_%28%E6%98%A0%E7%94%BB%29

羊たちの沈黙』(ひつじたちのちんもく、The Silence of the Lambs)は、1991年公開のアメリカ映画。監督はジョナサン・デミトマス・ハリスの同名小説をテッド・タリーが脚色。主演はジョディ・フォスターアンソニー・ホプキンス。第64回アカデミー賞 作品賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞、脚色賞受賞作品。


映画『羊たちの沈黙』の公開は1991年。
主演はジョディ・フォスターアンソニー・ホプキンスの両主演。
捜査官クラリス役のジョディー・フォスターのかわいらしさがすごい。物語の途中でチルトン医師が彼女のことを「おいしそう」だという場面があるが、正直同意してしまう。
精神科医のハンニバル・レクターことアンソニー・ホプキンス。彼の存在感がこの作品の白眉。物語が進んでいくと、博士の異常性が様々な形で強調されていく。
映像作品としての特徴は、カメラを相手を正面から撮影する映像が多いこと。つまり、見ているほうからすると、登場人物と一対一で相対しているような映像になる。これは対話を基本としている物語の特徴により、すべて見透かされているような、そんな気にさせられる。
猟奇殺人事件の経過、犯人側と捜査側の勝負、そして登場人物の心理状態を描いたドキュメンタリータッチな作品といえる。映像やシーン的に派手な演出をしないことで、むしろ物語の異常性が強調されている。いや、ほんと怖い。

怖さの演出といえば、殺害された被害者の口にねじこまれていた蛾のさなぎ、スズメガ、アケロン・ティアスティクス、「死の頭」。
不吉の象徴
そして、拘束具の禍々しさ。

檻のシーンはチルトン医師の所の地下(?拘留所?)と移送中の体育館(?)と2つのバージョンがあったが、どちらもその造形の美しさが印象的。
特に、後者の檻の高さが室内の高さ分あり、壮大なイメージ。
その後のシーンでは、FBIが来る前に警察官をその檻を背に蝶のようにつるし上げた。


怖さを体感させるのにサプラッタなシーンをつなぐのではなく、カメラワークや物語の展開、象徴的な事象を精緻に配置する。
こういう作品を見ることが、自身の参考になるなあと思えた作品。