yuichi0613's diary

yuichi0613の雑記、写真、日々の記録。

googleが米大手2紙と組む「リビング・ストーリーズ(livingstories)」ってなに?

情報収集してたら、このニュースが目に入った。
12月9日付け47news”新「新聞サービス」開始 米グーグルと主要2紙”
http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009120901000155.html

米インターネット検索大手、グーグルは8日、ニューヨーク・タイムズワシントン・ポストの米主要2紙と協力、新聞記事をテーマごとに時系列でサイト上に表示するサービス「リビング・ストーリーズ」の試験運用を始めた、と発表した。

「リビング・ストーリーズ」とはまたどういうものなのだろう。
サイトのアドレスはこちら。
http://livingstories.googlelabs.com/

TOP画面はこちら。


まだgoogle lab扱いなんだな。
つまり、「実験中」のサービス。


内容について、上記記事では「新聞記事をテーマごとに時系列でサイト上に表示する」というのと、

新サービスは、興味のあるテーマに沿った新しい記事が掲載されると電子メールで購読者に通知。記事中の専門家の発言部分だけを選んで表示したり、一度読んだ記事を示すといった機能もある。

とある。

よくわからない。イメージ貧困。
google自身のサービス説明はこちら。

News, made for the Web.


The Living Stories project is an experiment in presenting news, one designed specifically for the online environment. The project was developed by Google in collaboration with two of the country's leading newspapers, The New York Times and The Washington Post.


All in one place


Complete coverage of an on-going story is gathered together and prioritized on one URL. You can now quickly navigate between news articles, opinion pieces and features without long waits for pages to load.


Easy to explore


Each story has an evolving summary of current developments as a well as an interactive timeline of critical events. Stories can be explored by themes, significant participants or multimedia.


Smarter reading


Updates to the story are highlighted each time you come back, and older news is summarized.


Get started


Just click on one of the headlines to the left to begin reading Living Stories.


Have a question?


Find the answer here.

2段落目にあるように、「Complete coverage of an on-going story」を「one URL」で表示することで、素早く「news articles, opinion pieces and features」を読めるってことだね。
英語ばっかでよくわかんない文章だけど。

「living stories」はこの「an on-going(=進行中の) story」の同義語で、つまり「進行中の物語の集合」ってことかな。


「living stories」、画面の説明

さて。



画面左には、あるテーマの見出しと発信者名、そして更新時間があり、見出しの下に「テーマの関連記事」が3つ並んでいる形だ。

テーマについては、私が閲覧した時間のものを引用すると以下になる。(あまり英語が得意でないが、試訳もつける)

例えば「The Struggle Over Health Care The New York Times」についての記事を見てみる。


「living stories」、個別ページの説明


まずTOP画面に表示されている該当のテーマやその下の関連記事のリンク、または「view all」をクリックすると、「The Struggle Over Health Care」のページに移行する。


ちょっとログインもして、体験してみる。


上段にテーマに対しての簡単な説明があるのだが、面白いのがある特定の言葉にはリンクがついていること。
例えば以下の文で言うと、太字にリンクがついている。

As the Senate starts debate over a health care bill, contentious issues remain. Chief among them are the bill's costs, abortion, and the question of whether Washington should create a government-run insurance plan or so-called "public option" ….

このリンクをクリックすると、ページ下部にある記事の中から該当記事を探し出してその記事を表示したり、統計的数字や簡単な用語の説明だと文章のコピーが可能な形でポップアップが出てくる。

次に、テーマ説明の下には「時系列で」ニュースが表示されている。
これも有難い。

さらにその下、ページ中段に行くと、記事コーナーになる。
ページ左には索引のようなもの。

All news


Events
Articles
People
Quotes
Resources
Images
Videos
Graphics
Opinion

「People」をクリックすると記事に出てきた人物の顔写真が出てきたり、「Quotes」は識者のコメントを引用した部分が抽出されて出てきたりする。「Resources」ごとというのも面白い。
(なお、筆者の英語力だと、「Events」と「Articles」が分かれる理由が不明…)

そして中央部には、op-edを含めた記事が20本程度(閲覧時)、最下部にはコメント欄もある。
最後に右側には「Timeline of important events」としていくつか重要なニュースが置かれている。

ログインすると、ページ右上のアカウントのところで、「subscribe from email updates」と「RSS feed」の追加ができる。
前者は、情報のアップデートのときにgmailにメールを送ってくれるもの。まだ更新されてないが、あるテーマに絞っているので頻度としては一日数回メール来るくらいだろう。


「living stories」の面白いところは、テーマがひとつのページにまとまっていること

このサービスの面白いところは、「あるテーマについての記事を、ひとつのページで総覧できること」だ。
そのテーマに詳しくない人は、ページ上部の簡単な説明から入り、いくつか記事を読んでもいい。
テーマについて深く知りたいならば、時系列に並んだ記事を詳しく見ていけばよい。

これまでのgoogleなどを利用した検索では、テーマについて検索をした結果、その「記事」に辿りつくことはできても、その記事を読んだらそれでお仕舞いだった。

しかしこのサービスでは、テーマを基にページがまとめられているので、ページの滞在時間が長くなることが予想される。また、関連記事がこのページで総覧できるために、同じリンク元からいくつかの記事に閲覧者がリンクで飛びやすくなることも予想される。

多くの新聞社のサイトが悩んでいる「滞在時間の短さ」「ユニークユーザー当たりの同一サイトでのビュー数の少なさ」に対しての、googleの回答と言えよう。


今回のアメリカを代表する2紙がこういう取り組みをするだけでも、かなり情報提供の質は上がっているのは間違いない。
一方で、閲覧者からすると、「ひとつの報道機関の情報だけで、テーマについてのあらゆる情報が手に入るのか?」という疑問もある。
他の報道機関しか載せてない情報が欲しい場合もある、そうなるとやはりこれまで通り、閲覧者がうまくブラウズすればいいのかもしれない。
まあ、これは例外か。


googleの好調さと新聞業界苦境のジレンマ

News Corp.のマードック氏がgoogleを目の敵にするように、googleは一面では新聞業界のビジネスを破壊する、強力な敵である。
一方で、クリス・アンダーソンの近著『フリー〜無料>からお金を生み出す新戦略』(NHK出版)で指摘されているように、googleは自身の検索システムのために「新聞業界にビジネスを続けて欲しい」(前掲書pp.177-178)と思っている。

なので、メディア不況がまだまだ続くなかで、こうした「新聞業界のビジネスを助ける」ような取り組みは、googleは今後も多く企画していくことだろうなあ。