「新聞の情報源としての重要性」とか調査してる公益財団法人「新聞通信調査会」の報告書について、興味あるとこだけ
数日前の読売の記事ですが。
新聞「欠かせない」56%…メディア世論調査 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
公益財団法人「新聞通信調査会」は22日、メディアに関する全国世論調査の結果を公表した。
情報源としての重要性に関する質問(複数回答)では、新聞を「欠かせない」とする人は56・0%と最も高く、民放テレビが50・0%、NHKテレビが47・6%と続いた。インターネットは、34・1%だった。
新聞「欠かせない」56%…メディア世論調査 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
とりあえず、複数回答で5割強というのはあんまり多くないんじゃないかなと思った。
あと、調査を企図した団体が「新聞」と名のつくところなので、少々新聞に甘く出ているように見るのがいいかなと。(ただ、この財団は戦前の「社団法人同盟通信社」が前身で、通信社系か)
ちなみに、情報元の調査会にはサイトがありこの報告書が紹介されているので興味がある方は読んでほしい。
→公益財団法人 新聞通信調査会の新着情報のところ
で。
この項目もいいけど、個人的には他の設問のほうが興味ある。
調査*1項目は以下。報告書の目次を引用しますと。
≪各メディアの印象≫
1. 各メディアの印象は?
2. 各メディアの情報の信頼度は?
3. 信頼している新聞の記事は?
4. 信頼しているテレビ(NHK)の報道は?
5. 信頼しているテレビ(民放)の報道は?
6. 信頼しているインターネット情報は?
7. 各組織、団体の信頼感は?≪新聞への意見≫
8. 新聞についてどう思う?
9. 新聞の政治に対する態度についてどう思う?
10.新聞の政治的立場についてどう思う?
11.新聞の記事の満足度は?
12.新聞全般の満足度は?
13.新聞を読んでいる人は?
14.新聞を読む時間は?
15.新聞を読む場所は?
16.新聞を読む理由は?
17.よく読む記事は?
18.新聞を読まない理由は?
19.大きな事件・事故のニュース入手先は?
20.戸別配達をどう思う?
21.夕刊の発行をどう思う?
22.月ぎめ新聞の購読状況は?
23.新聞の購読料をどう思う?
24.通信社の役割を知っている?
25.見たり聞いたことがある通信社は?≪新聞のこれからとインターネット≫
26.インターネットのニュースをどの程度見る?
27.よく見るインターネットニュースの記事は?
28.インターネットニュースを見るサイトは?
29.将来の新聞の役割についてどう思う?
30.電子新聞の周知と魅力は?
yuichi0613的に興味あるところだけ、少しふれていく。
年代別に見る「情報源として欠かせない」は、やはり「世代間ギャップ」【設問1】
まず、読売の記事にも取り上げられていた「情報源として欠かせないか」という設問の回答。
(p.2)
先述の読売の記事では全体の回答率で出ていたが、どう考えても面白いのは「年代の差」。
グラフを見て一目瞭然。
そのあとにある「情報が楽しい・面白い」と思うか、についても同様の傾向が見られることも考え併せると、多分、見ているものが違うんじゃないかと思う。
そういう意味で、「世代間ギャップ」と言ってもいいと思う。
新聞のなかで信頼している情報は、ほとんど全部。逆にやけに信頼されていない「内閣支持率」【設問3】
つぎは「信頼されている新聞の記事」。
(p.4)
「信頼」+「やや信頼」を合わせるとほぼ8割超えなので信頼はされている。それはまあ、妥当でしょう。
「やや信頼感を持っている」がだいたい7割を超えているので、少し気になるところだけど、
一方でこの「なんとなくの信頼感」というのは雰囲気と言えるものだろうから貴重なもの。
で、やけに信頼されていないのが「世論調査の内閣支持率」。
そうはいっても信頼度66.7%ではあるのだけど、
他と比べて明らかに「あまり信頼していない」と「まったく信頼していない」が多い。
昨年、巻き起こった「世論調査批判」的な雰囲気が、この調査にも表れているのだろうな。
政治関連の「国会」、「政党」のイメージが悪い【設問7】
(p.12)
上位は病院、報道機関、裁判所。下位は、中央官庁、国会、政党。
どうしても日本では「政治関連」のものは信頼度が低い。
なお、比較対象として、調査方法などが違うだろうが、傾向をみるにはこの読売の日米共同調査あたりが参考になるだろう。
アメリカでの信頼感を見ることができる。見たら、アメリカでも「国会(連邦議会)」の信頼度はあまり高くなかった(一方、軍の信頼度がかなり高い)。
「新聞は社会的弱者に目を向けていない」
個人的にはこれが一番関心がある。
新聞は社会的弱者に目を向けていないと思われている。
高年齢層も、そう思っているのは3割程度である。
「社会的弱者」の定義や、目を向けるといった日本語の問題はあるだろうが、
ジャーナリズムの使命という、少し照れるようなことを考えるとすると、十分な役割を果たせていないということだろう。
新聞の政治に対する態度は「評価が低い傾向」【設問9】
新聞と政治家の関わりに関する項目については評価が低い傾向にある。「新聞は政治家について知っていることをすべて報道している」の否定層が40.9%に上り、「新聞は政治家と適切な距離を保っている」の否定層が24.6%にとどまるなど評価が厳しい。
報告書にこうあるように、新聞と政治の関わりについては厳しく見られているようだ。
というか、現代の新聞報道は総じて「客観報道主義」を貫いていると思っているのだろうが、そうしてやっていても「客観的な視点で報道している」とする意見は4割ほど。
理念としてはとても貴いし、目指すべきとは思うけど、もう少し紙面の上に「主観」の存在を認めてあげてもいいんじゃないか。
欧米と比べて記事が味気ないのは、それもあるんじゃないかと思う。
あと。
「新聞は政治家について知っていることをすべて報道している」の否定層が多いが、これは記事作成上、あと新聞社のニュース選択の機能上、あり得ない。
政治家の政策立案やら、重要日程を新聞が知っているにも関わらず「知らせるべきことを知らせていない」なら質問の意図はわかるが。
あと、設問10の「新聞の政治的立場」だが、政治が悪いイメージで捉えられている+新聞は不偏不党がよいと考えられている日本では政治的独自色を出すのは批判を生むだろう。
でも、政治色を出さない政治報道はつまんないよ。政局ばかりになるのは、この独自色のなさも一因じゃないかと思うよ。
夕刊はどちらでもよいが多数、いらないも3割【設問21】
新聞業界の危機が言われてから、徐々に発行を辞めるところが出てきている新聞の夕刊について。このブログでも一度、まとめたことがある。
回答を見ると、どちらでもよいが約45%、つぎになくてもよいが33%ほどとなっている。
「続けてほしい」の計も、08年に28%、09年23%、今回10年には20.8%と徐々に減少している。
ネットニュースを毎日見るのは20代半数以上【設問26】
つぎはネットニュースの閲覧状況について。
これも世代間ギャップのお話かと。
年代別にみると、インターネットのニュースを閲覧している人は若年層に多く、特に30代以下では8割(85.3〜92.4%)を超え、新聞朝刊の閲覧率を上回った。インターネットのニュースを「毎日」見ている人は20代では5割(54.3%)を超えている。
棒グラフを見て思ったのが、けっこう男女間の差があるんだなあということ。
平均寿命の関係で、高齢層に女性が多いことが何らかの形で影響しているのだろうか。
それとも、単純にネットニュースを見る男女比は、男性が多いのか。
調査全体の男女比は問題なさそうだが、各年代の男女比は公開されていないのでなんとも言えないけど。
ニュースへの関心を考えると、あり得るか。
よく見るネットニュースはポータルサイト【設問28】
これは予想通りなので資料として。
一回、このブログでも同様の結果について触れたことがある。
ニュースサイトにおけるYahoo!トピックスの一人勝ちっぷりは、いろいろなところで取り上げられている。
サイト制作の当事者・奥村倫弘さんによるこの本によると、「ひと月の閲覧数 45億ページ」「ひと月の訪問者数 6970万人」だというから驚きです。
- 作者: 奥村倫弘
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かつて関わっていたサイトでも、このYahoo!トピックスに取り上げられるかどうかでpvが格段に違った。
ここに掲載するためのノウハウを紹介している本も出ているくらいだ(ヤフートピックスを狙え―史上最強メディアの活用法 (新潮新書))。
新聞の役割は持続派が多数、しかし持続派は継続的に減少【設問29】
終盤の抽象的質問、「新聞の役割について」どう思うか。
選択肢は以下。
「A:インターネットなどの普及により新聞の役割が少なくなってい来る」
「B:今までどおり、新聞が縫合に果たす役割は大きい」
ひとまず、Aには「新聞が果たす報道の役割…」という表記があるが、この「役割」というのは回答者に説明されたのだろうか。
抽象質問はうまくやろうとすれば回答の傾向を曲げる可能性があると思うよ。
結果は、役割減少派38.7%に対し、役割持続派43.7%で多数。
実際、この設問なら、私も「B」に入れる。役割が減らず、必要とする人が減って、食いぶちが減るんだと思ってる。
年代別でみると、もう40代は「減少派」が多数になっている。
新聞を有り難がっているのは大きくわけると50代以上。新聞の購読は世代を越えて継承される傾向があると、どっかで聞いたことがある(ソースはなし…)ので、
あと数年もすれば、いまのトレンド以上の早さで新聞業界に構造変化が襲いかかるのだろうな。
ちなみに、設問30の「電子新聞」については、「電子新聞」自体にはあまり興味ないのでパス。興味あるのはもう少し用途の広いガジェットです。
電子新聞は、そのまんま新聞をのっけようとしているものについてはあまりにナンセンス。
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…全部にコメントするのもいいかも。
とりあえず、うまくまとめてこれから新聞・メディア系のエントリーをまとめようと思っているブログに改めてアップをしようと思う。