yuichi0613's diary

yuichi0613の雑記、写真、日々の記録。

今週の「アイアムアヒーロー」(花沢健吾)

ごめん、遅くなったけど。


読んだ。

感想。


2週間、休載後の一発目。

「物語りは核心に…」というニュアンスの文章が表紙にあったから、「もう終わんのか」と思った(終わらないですよね?)。

以下、ネタバレます。


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血管が皮下から異様に浮き出たてっこの姿。

前回、扉ごとてっこがふっとんできた衝撃をまんまうけつつも、てっこの異変に対しては危機感を持てないでいる。

たまたま右足で扉を抑える格好になっていたためてっこは出てこれない。

もがくてっこ。
右手は英雄を力いっぱい握りしめながら、肉に食いつくように扉をかじる。

左手も英雄に迫ろうとするが、郵便受けの穴から手を伸ばし形になり、うまくいかない。


相変わらず危機感の薄い英雄。


扉をかじるてっこの歯はボロボロとこぼれ落ちていて、英雄は心配しつつ「やばいよ」と言葉は少ない。

やがて郵便受けで留まっていた左手は扉を突き破り、英雄の頭をふんづかんで扉をさらに破る。

痛がる英雄、ピンチかと思ったが、英雄が見たのは明らかに「異様な」てっこの部屋の風景。

窓ガラスが外側からブチ破られているという現実。

コマは部屋の外側からの鳥瞰図。

そう、てっこの異常は、「外側からの侵入者」によるのだとう示唆が与えられる。

混乱する英雄に、てっこがつぶやいたのは、「だいすき」という言葉。

ああ、メールでの言葉だ。

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なんという終わり方。
表紙の「核心へ」という意味合いにはほど遠い、いまだ示唆の段階で止まっている物語の展開だ。
最後のてっこの言葉は、メールでの文字の反復だった。
おそらくてっこへの「外側からの侵入者」の意思(そして外観の奇妙さ、獰猛な行動)と、メールや最後のつぶやきに見えるてっこ自身の意思は乖離しているのだろう(すでに自身の意思はろくにないかもしれないが)。
だとしたら、「侵入者」の意図が問われる。
窓ガラスの割れ方を見るに、けっこう大きめ、バスケットボールくらいの大きさはあるんじゃまいか。
人間になんらかの形で寄生をし、身体を乗っ取るタイプの生命体なのか?
なにが目的だろうか?
そこは物語の続きを待つ。

今回も、表現のひとつひとつが漸進的で写実的なので、ある種の奇妙さ、恐怖感といったものが強調されている。

その感じと英雄の危機感の薄さのギャップが、いまだ「物語の核心」に至っていないことを表しているように思える。

いまだ核心に至らないこの物語。
英雄はヒーローになれるのか。